同じ年の子供がいると、互いにライバル視して、甘えを押さえる事が出来ます。もちろん、最終的な安全管理や体調管理は親がしっかりとしないと行けません(この線引きを誤ると虐待とも捉えかねませんので、しっかりと親が目的を持って登山計画をたてましょう)。

さて、当日は晴時々ガスのなか、8時に富士宮口をスタート。山を歩き慣れていない子供たちはどこを歩いたら疲れにくいか、どのペースがちょうどいい歩くペースなのかがわからず直ぐに疲れてしまうので、私とパパ友達で子供たちを挟んで、ゆっくり克つ歩くペースを一定にゆ保ちながら歩きます。標高3000mを過ぎたあたりから動きも鈍くなって来たので、呼吸をするように促しながら登りました。といっても、6歳に理論的な話は通じないので、『ポケモンのレシュロムが口から火炎放射するみたいに「フー!」って吹きながら歩いてごらん』などと6歳用語をつかいながら、歩きます。
110cmの身長で大変なのが岩場です。富士宮ルートは8合目手前に岩場が出て来ます。小さい体をいっぱい使ってどこをつかんでいいかを教えながら登りました。
そして、今回一番危なかった場面。もうすぐ8合の小屋というところで、30m先の上部から「ガラ!」っという音がして直径50cmくらいの岩が落ちて来ました。15mくらい先に中年の登山者がいたので「らーっく!」と叫び、その登山者は飛びよけました。そして10mくらい手前で止まりました。原因は、下って来た方が落とした人為落石。中年の男性に当たっていれば解放骨折はしていたでしょう。落とした方も驚いていましたが、「当たらなかったのは運が良かっただけですよ。落とさないように気をつけて下ってください」と注意をせずにはいられませんでした。
9合目の小屋につく手前では、富士登山1000回以上を達成している実川さんと遭遇。一緒に写真を撮りました。聞くところでは既に1250回を越えているようで、算数を勉強し始めた1年生でもすごい回数というのは伝わっているようでした。そして万年雪山荘に1時に到着。登山口から5時間と順調なペースでした。

実川さんにエールを送る
山小屋では、じっとしていると子供もつまらないし、寝てしまうと高山病に罹る可能性も高くなるので、17時の夕食までは小屋の前でUNO。楽しく過ごす事で、子供たちの気分を紛らわせる効果もありますし、しゃべったり笑ったりする事で呼吸につながります。

夕食は定番のカレー。夕食後には綺麗な雲海と夕日が楽しめます。翌日に向けて子供たちと「今日はよく歩いたね。まだ歩けそうだったから明日も大丈夫だよ」などと子供たちを褒めてテンションをあげさせておくのも重要です。「登れそう?」という問いに、元気よく返事をする二人でした。

そして翌朝2時に父二人は起床。日の出が4時45分なので2時半から45分には出発したいと考えていました。先に準備をして2時半に子供たちを起こしますが、二人とも声をかけてもびくともしないくらい爆睡していました。起こすのに10分くらいかかりましたが、そのまま着替えさせ、強引に朝ご飯(弁当)を食べさせました。朝早く起きて食べたくなさそうでしたが、食べる事で体を起こし、エネルギーを採らないと絶対に登れません。そして出発直前にハプニング。長男が鼻血を出してしまいました。止めるのにも時間がかかり、3時に出発。
明るい小屋を出て直ぐに天気がいいのに気付き、「空見てごらん」と言い子供たちにヘッドライトを消させました。ちょうど真上に白鳥座と天の川、夏の大三角形が見え、流れ星も見えました。子供たちはそれでハイテンション。すぐに岩場があるのですが、ヘッドライトで照らされた岩場を元気にのぼり、先行している大人の登山者をプッシュしまくっていました。9合5尺の小屋で一休みしたあと、一気に山頂を目指し、日の出10分前に富士宮口山頂の鳥居に到着しました。

そして、そのまますぐ横の伊豆ヶ岳までもうひと登りし、ご来光を拝みました。

ご来光の後には、反対方向に影富士も見る事ができました。息子の同級生の友達は、ちょっと疲れてこのまま帰りたいと言っていましたが、長男は元気で最高峰の剣ヶ峰に行きたいと言っていたので、一緒に行こうと励まし頑張って剣ヶ峰まで行きました。山頂につく頃には、友達も回復していて、「これ以上高いところは日本に無いんだよ」というと「ヤッタねー」「富士山キター」と仮面ライダーフォーゼ張りの元気で喜んでいました。私もパパ友達も最高の気分でした。

ただ、登山は山頂が折り返し地点に過ぎません。特に剣ヶ峰直下の馬の背は滑りやすく、子供たちには少々危ない箇所です。二人にスリングで簡易ハーネスをつけ、確保しながら下りました。
その後も、富士宮口の山頂を6時に降り始め、要所要所で危ないところは、慎重に下ったり、確保したりするなどしました。最後には長男がバテてしまいましたが、なんとか11時前に登山口に到着。子供二人のテンションが入れ替わるのも面白く、だからこそ親子だけではなく、友達と一緒に行くことで励まし合ったり、競い合ったりできると思いました。それにしても初日5時間、二日目8時間を二人ともよく歩きました。帰りがけに富士山の見える温泉に立ち寄り、「あそこにいたんだよ」と湯船に浸かりながら至福の時間を過ごしました。
親子登山は大変な部分もありますが、子供と時間を共有できるのでいいですね。
安藤隼人