2011年03月14日

被災者の方へ低体温対策情報

日本登山医学会に所属する救急救命専門医・国際山岳認定医より被災地の方へ向けた低体温対策の情報が発信されています。
一般の人向け <避難場所での低体温症対策>
屋外に退避して救助を待っている方々、避難所でも十分な暖房がなく寒冷環境にいらっしゃる方へ、低体温症にならないために、以下のような点に注意することをお勧めします。
○なぜ低体温症になるのか?
・ 低体温症は、体の外に奪われる熱と自分で産生する熱のバランスで、奪われる熱が多いときに体温が維持できずに起こります。従って、それほど寒くない環境でも、栄養が足りなかったりすれば起こりますし、特に、お年寄りや小児などでは、起こしやすいので注意が必要です。
○低体温症になりやすい人・なりやすい状態
・お年寄り、小児
・栄養不足や疲労
・水分不足 
・糖尿病、脳梗塞など神経の病気がある人
・怪我をしている人
○低体温症に気づくには?
手足が冷たくなったり、寒くて震えます。
体の中心の温度が35℃まで下がると低体温症ですが、震えは中心の温度が37℃から始まり、体に警告サインを出します。ここでのんびりしていると、本当に低体温症になります。震えがあるのは、熱を上げるエネルギーが残っている証拠です。ここで改善するのが一番安全で、早道です。
○低体温症の対応が遅れるわけは?
心臓発作のように緊急性が低いので、もう少し・・と言ううちに、気づくと悪化してしまいます。
○体温測定は?
一般の体温計で体温を測っても低体温症の診断にはなりません。
低体温症の体温は個人差がありますので、測定する必要はかならずしもありません。
とにかく、震えがあるか、意識がしっかりしているか、を確認して下さい。
○震えが始まったら何をすればいいのか?
1。隔離  冷たいものからの接触をさけます。地面に敷物をしたり、風を除けたり、濡れた衣服は脱いで下さい。着替えが無くても、濡れたものは脱いで、毛布などにくるまって下さい。
2。カロリー補給  何よりカロリーで、体温を上げるエネルギーを補給することが大切です。
3。水分補給  体温が下がると利尿作用が働いたり、体内の水分バランスが変化し、脱水になります。温かくなくてもいいですので、水分をとります。温かければ、さらに理想ですが、まずは水分補給です。
4。保温・加温  体温を奪われないために、なるべく厚着をして下さい。顔面・頚部・頭部からも熱の放散が大きいので、帽子やマフラーなどで保温して下さい。毛布などにくるまる場合は、一人でくるまるより2−3人でくるまった方が暖かいです。特に、老人や小児など弱い人には、元気な人が寄り添って一緒に包まれると保温効果があります。
屋外にいる場合は、これ以上濡れないように、湿気から隔離できる衣服やビニール素材などがあれば、くるまって下さい。震えがある段階では、どんな温め方をしても大丈夫です。
○悪化のサインは?
震えがなくても低体温症になっていることもあります。
見当識障害(つじつまの合わないことを言う)、ふらつくなども、重症な低体温症の症状です。また、震えていた人が暖まらないまま震えがなくなって来るのは重症になっている証拠です。
○震えがなくなったり、意識がもうろうとしてきたら?
緊急事態です。震えが止まってしまった低体温症は自分での回復はできません。また、急速に悪化します。至急病院へ。できるだけ丁寧に扱って下さい。乱暴に扱うと、心臓が停止しかかることがあります。病院搬送が難しい場合は、丁寧に扱いながら、保温につとめてください。
この場合の保温は、
1)上記の保温・温かい飲み物の摂取(むせないことを確認)を徹底する。
2)ペットボトルなどに、お風呂の温度程度のお湯を入れて湯たんぽを作り、脇の下・股の付け根・首の回りに当てる(42℃を超えた湯たんぽは、長時間当てるとやけどをするので注意)

posted by トレーナー at 14:52| Comment(0) | 登山医学

2011年03月07日

登山医学会

昨日まで行われた登山医学会認定山岳医研修会ですが、昨年から始まった新しい制度です。

そもそも登山医学会とは、山に詳しい(山が好きな)医師が中心となり30年前に発足した任意団体です。世の中に○○学会というものは多くありますが、学会規模(人数や会場)が大きすぎて、全ての発表を見ることができなかったり、発表しても意見をもらえなかったりする学会も多くあります。それに比べ、登山医学会は、最近やっと会員が1000名を越えたくらいで、学会の参加者も100〜200名とそれほど大きすぎず、会場も一つでいろんな発表を聞くことができます。また、登山という共通キーワードで、循環器科、外科、整形外科、救命救急科、産科、歯科などなどいろいろな分野の先生方が集まってディスカッションするので、幅広い話を聞くことができます。

その中で、昨年から始まった制度が学会認定の山岳医(山のお医者さん)認定制度です。この資格は、単に登山医学会だけが作ったカリキュラムではなく、国際山岳連盟医療部会と国際山岳救助協議会、国際登山医学会の了承を得たカリキュラムにのっとり国際的にも通用する資格となっています。

この資格は、将来的に医師以外の看護師や山岳ガイドにも広げる予定となっており、資格取得者が多くなると、日本の山もより安心できる山となるでしょう。興味のある方はまず、登山医学会へ入会し、6月には学術集会(学会)が行われるので、参加してみてください。医師ではない私が入会しているように、登山医学会には、職業ガイドの方や旅行業者の方、単に山が好きだからという方も入会されています。
くわしくは、学会HPをご覧下さい。

安藤
posted by トレーナー at 17:56| Comment(0) | 登山医学

2011年03月05日

日本登山医学会認定山岳医研修会

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今日と明日の2日間、日本登山医学会の学会認定山岳医研修会が、弊社で行われています。
1月に北八ヶ岳で行われた雪上訓練の話をブログでもしましたが、今回は講習とワークショップが中心でフィールドに出ない分、受講生の先生方には少々退屈かもしれません。

しかし、事務局スタッフとして時々話を聞いていると、とても興味深い話も聞け、私自身は受講生ではないのですが、とても勉強になります。
特に今回は、海外からの緊急搬送について救急専門医の先生が、いちばんホットなニュージーランド地震の被災者の日本への搬送についてお話してくださいました。NZ地震はまだ捜索活動が終わっていませんので、その先生はまだNZの病院に入院している重症患者を日本へ帰国させるために、週明け月曜から再びNZへ出発されるとの事でした。

また、最後のワークショップでは、剱岳チンネ左稜線上でトップが滑落し、意識はあるものの歩行困難で、途中のテラスで救助要請というシチュエーションの課題が与えられ、診断とオーガナイズドレスキューとの連絡や経緯について的確な判断ができるかのシミュレーション実習を班毎に発表しました。

残念ながら、先週富山県警の山岳警備隊が雪崩に巻き込まれ、優秀な隊員が犠牲になりましたが、その際の教訓を踏まえ、このような講習が実を結び、一人でも多くの方の命が助かる日はそう遠くないと思います。

安藤
posted by トレーナー at 23:47| Comment(0) | 登山医学

2011年01月11日

日本登山医学会認定山岳医講習北八ヶ岳クラスタ

3連休で日本登山医学会が主催する講習会のお手伝いに行ってきました。
この講習会は、2010年から始まった国際山岳医制度の一つです。
国際山岳医とは、ガイドや遭難対策協議会メンバーらと一緒に
山岳事故現場へ急行し、的確な対応ができる医師を認定する制度で、
ヨーロッパでは、スイス、フランス、イギリスなどで既に取り入れられて
いる制度です(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=26634)。
-15度風速20m/分の中東天狗に登頂

弊社スタッフは、日本登山医学会のメンバーでもあり、私は評議員も務めているので
この制度のお手伝いもしています。国際山岳ガイドの長岡健一さんが主任講師として、低体温症や凍傷、雪崩などの実習と講義を北八ヶ岳の
黒百合ヒュッテをベースに行われました。単なる雪上訓練にとどまらず、医師の方々の集まりなので、より医学的な議論もなされ、そばで聞いているだけで大変勉強になりました。
ドクター集団がラッセル
低酸素トレーニングを受けるお客様が行く高所は、低酸素だけでなく低温も影響されますので、
今後利用されるお客様へ有益な情報をお伝えできると思います。

安藤
posted by トレーナー at 15:17| Comment(0) | 登山医学