2015年05月30日

第35回日本登山医学会学術集会

5月23〜24日香川県の高松市にて日本登山医学会学術集会が開催されました。
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この学会は「医学的な観点から安全登山に貢献する」ため、山好きな医師や山荘の方、大学の先生など。多くの方が集まって討論します。

今回は低酸素スタッフ2名も発表してきました。
安藤真由子「高所に対する適正および行動適応能力を評価する『高所テスト』における個人差の検討」
宮ア喜美乃「年齢との関連からみた登山者の脚筋力と脚パワーの特性」

弊社の高所テストを受けていただいた方々のデータをまとめ、よりよいものとするために発表させていただきました。多くの方からのご意見をお聞きすることができたので、今後さらによりテストをサービスできるよう努めさせていただきます。

最後は市民公開講座ということで、三浦雄一郎も登壇しました。
「『世界最高齢エベレスト登頂を』支えた日本の登山医学」
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これからも、安全登山の貢献に少しでも力になれるよう弊社スタッフも頑張っていきたいと思います。
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三浦雄一郎、山本正嘉教授(鹿屋体育大学)、弊社スタッフの記念撮影
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2014年12月26日

「高所テスト」を登山医学的観点からみて

これまで多くの方に高所テストをお受けいただき、講習会等では紹介してきましたが、これまでの数多くのデータをまとめ、世に公表したのは初めてです。下記にこの論文の内容を少し紹介いたします。
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★目的
@高所テストの概要を掲示すること
A多数のデータを収集し、動脈血酸素飽和度、脈拍数の特性を数値的に示すこと。

★対象者
2013年12月〜2014年7月にかけて、海外での高所登山・トレッキングに出かける前に、弊社(MIURA BASE CAMP)に初めてお越しいただいた166名(男性84名:年齢20〜81歳,女性82名:年齢23〜78歳)。

★方法
常圧低酸素室内に約70分(安静20分、運動20分、仮眠30分)滞在し、その際の動脈血酸素飽和度、脈拍数を測定した。(運動は踏み台昇降運動。台の高さは27cm。実際には2種類(1分間に40、60回の昇降運動)の速度にて行っているが、下記の平均値は1分間に40回強度のみ記載。)
なお、急性高山病の防止のために意識的に呼吸を行うことが有効と言われている。そこで、安静および運動時には、通常呼吸と意識呼吸を行い、低酸素環境における行動適応能力を見ることとした。

★高所テスト時の動脈血酸素飽和度と脈拍数の典型例
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★結果
高所テスト時の動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数(PR)の平均値(男性)
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★考察
・この高所テストは、急激そして短時間の低酸素曝露であるが、実際の自然な高所で測られたものと同等の値であったため、実際の高所登山における体内の低酸素状況を、ある程度までシミュレーションでき、妥当性のあるものと考えらえる。

・通常の呼吸の場合、動脈血酸素飽和度は安静→運動→仮眠の順に低い値を示した。このような現象が起こる理由は以下の通り。
運動時は、安静よりも活動筋の酸素消費量が増加するため低下しやすい。
睡眠時は、安静時に比べ、呼吸数の低下や呼吸が浅くなることが原因で低下しやすい。

・意識呼吸により、動脈血酸素飽和度を上昇させ、脈拍数を低下させることができた。また、主観的な症状の改善にも効果があることが分かった。

★この結果からの今後の活用方法
166名の平均値との比較を行うことで、個人の高所に対する適正や行動適応能力を客観的に評価できる可能性も考えられる。下記にその1例を示す。この方は、高所に行くだけで体調を崩しやすいと述べていた。平均値と比べても一目瞭然である。今後はさらに現場への活用法について検討していきたい。
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宮ア喜美乃
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2014年12月25日

「高所テスト」ができた由来

低酸素トレーニングを行う前に必ず行ってもらう、初回のテスト「高所テスト」について、弊社スタッフ安藤がまとめ、論文化しました。そして、その論文が、先日、登山医学vol.34という学会誌に掲載されました。
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“低酸素環境の対する適正と行動適応能力を判別するための常圧低酸素室を用いた「高所テスト」の開発”

今では、基本となっている「高所テスト」ですが、今の形となったのは6年前。試行錯誤の上でできたプログラムです。今回はこのテストができた由来を紹介します。

★「高所テスト」ができた由来

この時期(12月)に特に多い、キリマンジャロ(標高5,896m)をはじめ、日本人が海外で高所登山・トレッキングを行う際、4,000m以上の高度を経験することが多くなります。このような高所では、急性高山病(急激に体内が低酸素状態になることによって起こる、頭痛を主症状とした不調)を発症する可能性があります。

しかし、日本にはこのような高所がないため、事前にその高度を体験したり、高所での行動適応の方法(呼吸や運動の仕方など)を学習したりすることができません。

そこで弊社のMIURA BACE CAMP(常圧低酸素室)を利用して、一般の登山者の方々が実際の高所に出発する前に、“低酸素環境”を体験していただこう。そして低酸素環境に対する生理的な適性や、行動適応の能力を評価し、個々のリスクを知っていただきたい。そう思い作成したプログラムが「高所テスト」です。

このテストは、標高4,000m相当の常圧低酸素室において、登山中に体験する様々な状況をシミュレーションする意味で、安静、運動(踏み台昇降)、および仮眠を行い、その際の動脈血酸素飽和度(体内の酸欠度合)、脈拍数の値。そして、その際の表情や行動、会話の受け答え等、総合的にみて、ひとりひとりの低酸素環境に対する能力を評価するものです。

これまで、多くの方にこのテストを受けていただき、多くのデータが集まりました。この結果を科学的にまとめ公表させたものが、今回の論文になります。このデータを基に、さらに内容の濃いプログラムとなるようこれからも務めていきたいと思います。

もし興味がある方は、次回、論文の概要をアップしますので、ぜひ見てみてください。

宮ア喜美乃
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2014年06月06日

登山医学会

先日、日本登山医学会学術集会が自由学園明日館にて行われました。この学会は、登山に興味のある医師や看護師などの医療関係者、研究者、そして一般登山愛好家などによって成り立っている組織です。登山の現場はとても特殊な環境で、そこで起きた事故や症例やその処置の方法に対して、共通の認識を持つことはとても大事なことです。また、事故等が起きないように、その危険性を防ぐための知識と経験を積むことも、とても大事なことです。

私たちも登山医学会には、随分前から所属し、高所登山・トレッキングが安全に行えるような啓発活動を行ってきました。

今回は、『低酸素に対する適応状況を判別するための常圧低酸素室を用いた「高所テスト」の開発』ということで、弊社のプログラムの代表でもある「高所テスト」のデータを発表してきました。

医師を始め、登山ガイドの方へも「高所テスト」を認知していただき、また、「とても貴重なプログラム」だということも言っていただき、私もとても嬉しい気持ちになりました。

これから、医師や看護師との連携をとりながら、弊社のプログラムもより良いものにしていきたいと考えています。

※写真は自由学園明日館。重要文化財とのことで、とても立派なところでした。
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安藤真由子
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2012年06月18日

まだまだ修行が足りませんな

週末に福岡で開催された日本登山医学会学術集会。シンポジウムでの発表は、今までの学会発表の中で一番緊張せずに、スムーズにしゃべれたのですが、そのおかげで今度はしゃべり過ぎてしまいました。2分前のチャイムがなった時点で全スライドの3分の2くらいまでしか話せておらず、結構なスライドを省略しましたが、言いたい事とまとめは出来たので70点。終了後、何人かの先生方に、面白い発表だったと声をかけていただきました。大学時代の恩師である山本正嘉先生(鹿屋体育大学教授)からは「オレも発表練習の時しゃべり過ぎて、時間内に収まるように練習したんだから、お前も練習しないとな。まあ、時間切れながら最後のまとめ方はパニクらずにうまくできてた」と笑いながら軽いダメ出しを食らいました。まだまだ修行が足りませんな。

安藤隼人
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2012年06月10日

第32回 日本登山医学会学術集会in福岡天神

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長野県警提供写真をWebから引用

来週末に福岡天神で日本登山医学会学術集会が行われます。17日午前に「高山病になる人ならない人」というシンポジウムでシンポジストを務めさせて頂きます。医師からハイリスクと診断された方が低酸素トレーニングを経て無事に目的の登山を達成できた事例などを含め発表する予定です。
また、17日午後は、市民公開講座が行われます。今回、緊急企画として、5月のゴールデンウィークに発生した低体温症の遭難事例に対し、奥穂高山荘の小屋番で救助に関わった方と、要救助者として低体温症から生還したパーティーのリーダー、5月2日に白馬主稜を登頂していて遭難当時の後方立山状況を把握している国際山岳医を含めた緊急セッション「5月GW北アルプスでの遭難を考える:低体温症,その時何ができるか」を開催します。この事例は、白馬の6名全員死亡のケースと異なり、一人が亡くなり5名が生還しています。
教科書的な綺麗事では済まない低体温症の遭難事例に対し、救助に携わった方と、実際に救助された方も出席していただける段取りとなりました。自然相手の登山は、自分や他人の失敗例から学ぶ事の方が多くあります。失敗例を共有できれば、同じような遭難は減るのですが、失敗を素直に話してくれる方も少ないのも事実です。今回、要救助者となったパーティーの方が出席してくださる事は、大変勇気のある行動だと思います。私たちはその方に対し敬意を持ち、その失敗を繰り返さないように今後の登山へ繋げていけるようなセッションにしたいと思います。

安藤隼人
posted by トレーナー at 00:23| Comment(0) | 登山医学