2014年12月26日

「高所テスト」を登山医学的観点からみて

これまで多くの方に高所テストをお受けいただき、講習会等では紹介してきましたが、これまでの数多くのデータをまとめ、世に公表したのは初めてです。下記にこの論文の内容を少し紹介いたします。
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★目的
@高所テストの概要を掲示すること
A多数のデータを収集し、動脈血酸素飽和度、脈拍数の特性を数値的に示すこと。

★対象者
2013年12月〜2014年7月にかけて、海外での高所登山・トレッキングに出かける前に、弊社(MIURA BASE CAMP)に初めてお越しいただいた166名(男性84名:年齢20〜81歳,女性82名:年齢23〜78歳)。

★方法
常圧低酸素室内に約70分(安静20分、運動20分、仮眠30分)滞在し、その際の動脈血酸素飽和度、脈拍数を測定した。(運動は踏み台昇降運動。台の高さは27cm。実際には2種類(1分間に40、60回の昇降運動)の速度にて行っているが、下記の平均値は1分間に40回強度のみ記載。)
なお、急性高山病の防止のために意識的に呼吸を行うことが有効と言われている。そこで、安静および運動時には、通常呼吸と意識呼吸を行い、低酸素環境における行動適応能力を見ることとした。

★高所テスト時の動脈血酸素飽和度と脈拍数の典型例
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★結果
高所テスト時の動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数(PR)の平均値(男性)
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★考察
・この高所テストは、急激そして短時間の低酸素曝露であるが、実際の自然な高所で測られたものと同等の値であったため、実際の高所登山における体内の低酸素状況を、ある程度までシミュレーションでき、妥当性のあるものと考えらえる。

・通常の呼吸の場合、動脈血酸素飽和度は安静→運動→仮眠の順に低い値を示した。このような現象が起こる理由は以下の通り。
運動時は、安静よりも活動筋の酸素消費量が増加するため低下しやすい。
睡眠時は、安静時に比べ、呼吸数の低下や呼吸が浅くなることが原因で低下しやすい。

・意識呼吸により、動脈血酸素飽和度を上昇させ、脈拍数を低下させることができた。また、主観的な症状の改善にも効果があることが分かった。

★この結果からの今後の活用方法
166名の平均値との比較を行うことで、個人の高所に対する適正や行動適応能力を客観的に評価できる可能性も考えられる。下記にその1例を示す。この方は、高所に行くだけで体調を崩しやすいと述べていた。平均値と比べても一目瞭然である。今後はさらに現場への活用法について検討していきたい。
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宮ア喜美乃
posted by トレーナー at 13:00| Comment(0) | 登山医学
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